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東京23区での位置

不動産の重要事項説明で「水害ハザードマップ」の説明が義務になった理由と中身

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2020年8月から、賃貸でも重要事項説明でハザードマップ上の物件位置を示すことが宅建業者に義務づけられています。契約前に自分でも確認しましょう。

出典:国土交通省 国土数値情報ほか 最終更新 2026-09-18 調査方法 › 出典一覧 ›

家を買う・借りる予定の方に向けた記事です。

読み終えると、契約前の重要事項説明で「水害ハザードマップ」について何を示されるか、それで分かること・分からないこと、そして契約前に自分で先に調べる方法が分かります。全国どこの宅地建物取引にも共通するルールです。

本記事は法令の一般的な解説であり、個別の物件・取引についての判断は、宅地建物取引業者と市町村にご確認ください。

何が義務になったのか、条文と施行日

宅地建物取引業法35条1項14号は、重要事項として説明する内容の一部を省令に委任しています。この委任を受けた宅地建物取引業法施行規則 第16条の4の3 第3号の2(三の二)が、水害ハザードマップに関する説明義務の根拠条文です。

水防法施行規則(平成十二年建設省令第四十四号)第十一条第一号の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の所在地

e-Gov法令検索が公開している条文の原文です。平易に言うと、市町村が水防法にもとづいて作ったハザードマップに物件の位置が載っているときは、その地図上の所在地を説明する、という内容です。

この号を追加した改正省令は令和二年内閣府・国土交通省令第二号で、2020年7月17日に公布され、2020年8月28日に施行されました。2026年9月時点の条文でも、この号の文言は施行時から変わっていません。

この義務は売買だけでなく賃貸借でも対象です。全日本不動産協会の法律相談Q&Aも次のように説明しています。

売買に限らず、賃貸借であっても、重要事項説明を行う義務があります。

なぜ義務化されたのか

国土交通省は2020年7月の報道発表資料で、改正の趣旨を次のように説明しています。

近年、大規模水災害の頻発により甚大な被害が生じており、不動産取引時においても、水害リスクに係る情報が契約締結の意思決定を行う上で重要な要素となっているところです。そのため、宅地建物取引業者が不動産取引時に、ハザードマップを提示し、取引の対象となる物件の位置等について情報提供するよう、昨年7月に不動産関連団体を通じて協力を依頼してきたところですが、今般、重要事項説明の対象項目として追加し、不動産取引時にハザードマップにおける取引対象物件の所在地について説明することを義務化することといたしました。

つまり、2019年7月にまず業界団体を通じた協力依頼というかたちで始まり、2020年に重要事項説明の対象項目として法令上義務化された、という流れです。

重要事項説明で実際に示されるもの

国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」などをもとに、実際に説明される内容を整理すると次のとおりです。

  • 対象となる地図は3種類あります。洪水・雨水出水(内水)・高潮の水害ハザードマップで、それぞれ水防法14条・14条の2・14条の3に基づく図面です。
  • それぞれの地図で、物件のおおむねの位置を示します。国土交通省の解釈・運用の考え方は「当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行う」と説明しています。
  • 浸水想定区域の外にある場合でも、地図に物件の場所が載っていれば位置は示されます。全日本不動産協会のQ&Aは「浸水想定区域の外にある場合でも、重要事項説明において、ハザードマップにおける位置を示さなければなりません。」と説明しています。区域の外だからといって水害リスクがないと誤認しないよう注意が必要です(詳しくは次の章で説明します)。
  • 市町村がハザードマップを作っていない場合、市町村への照会をもって調査義務を果たしたことになります。国土交通省の解釈・運用の考え方は「その照会をもって調査義務を果たしたことになる。この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存しない旨の説明を行う必要がある。」と説明しています。
  • 使うのは入手できる最新の地図です。ただし「平成27年の改正以前の水防法に基づき作成された古い水害ハザードマップであっても、現行の水防法に基づくハザードマップと見なされる」とされています。
  • 近隣の避難所の位置は義務ではありませんが、示すことが望ましいとされています。国土交通省のQ&Aは「近隣にある避難所についても、説明が義務付けられているものではないですが、その位置を示すことが望ましいです。」と説明しています。

東京都住宅政策本部の実務解説では、地図を添付し物件の位置を〇で囲む、のような説明の例が示されています。

この説明で分かること・分からないこと

浸水想定区域の外=浸水しない、ではありません

国土交通省の解釈・運用の考え方は、宅地建物取引業者に次の配慮を求めています。

水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮する

国土交通省のQ&Aは、説明のときに示す文言の例として次を挙げています。

雨の降り方や土地利用の変化等により地図に示した浸水区域以外のところでも浸水することがありますので、ご注意ください

ハザードマップそのものについても、全国宅地建物取引業協会連合会の資料は「被害予測を地図化したもの」と説明しています。過去の実績ではなく、想定にもとづく予測である点も押さえておく必要があります。

この説明の項目に含まれないものもあります。地震のハザードマップについての説明項目はありません。また、土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域は、2020年より前から別の項目としてすでに存在しています。

項目根拠2020年改正で追加か
水害ハザードマップ上の物件の位置施行規則16条の4の3 第3号の2追加された
土砂災害警戒区域内か施行規則16条の4の3 第2号既存(2020年より前から)
津波災害警戒区域内か施行規則16条の4の3 第3号既存(2020年より前から)

契約前に自分で確認する方法

重要事項説明を受ける前に、自分でも同じ情報を確認しておくことができます。

  1. 国土交通省・国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」の重ねるハザードマップ(住所を入力すると洪水・内水・高潮・土砂・津波の想定を重ねて表示)と、わがまちハザードマップ(市町村の公式ハザードマップへのリンク集)を使う方法です(disaportal.gsi.go.jp)。
  2. 住所のある区の公式ハザードマップを直接見る方法です。各区の公式ハザードマップは「大雨のとき、このサイトで何を見るか」の区の公式ハザードマップ一覧からたどれます。
  3. 重要事項説明は、契約が成立するまでに行われるものです。物件を絞り込む段階で自分でも地図を見ておくと、重要事項説明で位置を示されたときに照らし合わせて確認しやすくなります。

ハザードマップポータルサイト自体も、次のように案内しています。

掲載されているデータの内容や、リスク情報の解釈等については、作成した機関にお問合せください。

このサイトの数値との違い

本サイトの町ページ・区ページに表示している「水害リスク」の指標と、重要事項説明で示される内容は別物です。あらためて整理します。

  • 本サイトの水害リスク指標・床上浸水想定割合:河川の堤防が壊れる・水があふれる外水氾濫の想定最大規模を、町の面積に対する割合として本サイトが独自に集計した指標です。内水(下水道・側溝の排水が追いつかない浸水)や高潮は含みません。高潮は別記事で扱っています。
  • 重要事項説明で示されるもの:市町村の洪水・内水・高潮それぞれの水害ハザードマップ上での、物件の位置です。リスクの高さの数値や順位を示すものではありません。

町ページの数値は地域の傾向をつかむための参考情報です。物件そのものの水害リスクは、市町村の公式ハザードマップと、契約前の重要事項説明で確認してください。区一覧はこちら、読み方の詳しい解説はこちらです。

浸水リスクを確認したあと、住まいの保険で水害が補償されるかも確かめておく場合は → 火災保険に水災補償が付いているかを確認する手順

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データ出典・免責

本記事は宅地建物取引業者による重要事項説明ではなく、法令と国の資料の一般的な解説です。個別の物件・取引の判断は、宅地建物取引業者と市町村にご確認ください。